『シドレクスサガ』、第4部の要約

このページでは、『シドレクスサガ』第171-275章の徹底的な要約(サマリー)をおこないます。

  1. ベルタンガラント
  2. ジークフリートとグリムヒルト。グンターとブルンヒルト
  3. ヘルボルトとヒルダ
  4. ヴァルターとヒルデグント
  5. イロンとイゾルデ
この要約のみにおいて、このサガを学術的に分析しようとする試みについては、いっさいの 責任を負いかねます。

参照の便宜上、このサガをいくつかの部に分割してあります。これは、一部をのぞき、ほぼ Von der Hagen の分割方式にしたがいました。 さらには《Membrame 写本》の章番号が附記されてあります。

このサガの一貫性(矛盾性)の議論については、 Boer (第2のhref) をご覧ください。


16:ベルタンガラント (Th. 171-222)

ディートリヒ、ヴィティッヒ、ハイメの履歴
ヒルデブラントとホルンボーゲ の履歴
ファゾルトとジントラム の履歴
デトレフ の履歴
アメルンクとヘルブラントの履歴
ヴィルデベルの履歴
ハーゲンの履歴
ジークフリートの履歴
エトゲルの履歴

ィートリヒは、今や、12人の勇士に囲まれている: ヒルデブラント、ハイメ、ホルンボーゲ、ヴィティッヒ、ファゾルト、ジントラム、 デトレフ、アメルンク、ヴィルデベル、ヘルブラント、ハーゲン、グンター王。

サガは、まずディートリヒ、その勇士たち、そしてジークフリートらの盾形紋章や、 かれらの容姿相貌について、くどいほど詳細に語っている。

ベルンで催された饗宴に、勇士ら一同は集められる。ディートリヒは、かくも果敢な勇士たちが、 かように素晴らしき王のもとに集まったためしは、これまでかつてなかろうぞ、と自慢する。 すると「大遍歴の旅人ヘルブラント」の異名をもつ人物が立上がり、増上漫もほどほどに、 とディートリヒに諫言する。 ディートリヒ・フォン・ベルン殿、げに剛なれども、ともすれば、それよりもさらに剛なる者やもしれぬ 勇士がいることを、それがしは聞き及んでいる、とこのヘルブラントは言う。 かのベルタンガラントの地の、イズンク王は、王自身さえけっして一介の戦士にはあらざる者で ある、しかるにそのイズンク王に仕える旗手の者こそ、その名にしおう剛の者だという。 王には11人の子があるが、そのいずれよりもこの旗手は勝っていると。 そして、その名もジークフリート!

ディートリヒは、すぐさま、そのジークフリートとやらと対戦することを決定。その臣将たちも、 随伴にあずかればよい。臣将の数だけイズンク王には王子がおるし、グンテルはイズンク王そのひとと、 相対すればよい。 この提案に、一同はただちに賛成し、ヘルブラントを水先案内人としてベルタンガラントへと向かう。

士らは、ノルディアンの息子、巨人のエトゲルが住まう森林 の近くにやってくる。 ヴィティッヒは、巨人を討ち取る栄誉をいただきたいと申し出、その許しを得る。 まずサガでは、エトゲルとヴィティッヒの血縁関係について復習(おさらい)している。 エトゲルの父はヴィティッヒの祖父と兄弟同士だったのだ。 ヴィティッヒは森林にわけ入り、エトゲルを倒す。そしてその舌を切除して、顔をその血で血みどろに 塗りたくる。そして森林がとぎれる境のところまで、[わざと]ふらふらとやってくると、仲間にむかって、 だめだ、巨人のやつにやられた、もうおしまいだ、などと叫ぶ。ディートリヒを残して、勇士たちはみな、 すわ、と退散する。ディートリヒだけ、これがただの悪戯であることを看破しており、ディートリヒと ヴィティッヒは大笑いする。

この後、一行はベルタンガラントに入国し、ジークフリートに目撃される。(ジークフリートは、 ただちにイズンク王に報告し、それぞれの勇士の盾形紋章なども詳らかに説明。 ジークフリートは、勇士たちの露営に戻り、通行料を要求。くじ引きが引かれ、アメルンクが馬 をさしだすことになる。

アメルンクは愛馬を奪回するため、ジークフリート追跡の許しをもらい、かわりの乗馬を求める。 その父ホルンボーゲさえ、貸し渋るところを、ヴィティッヒは[気前よく]馬を貸してやる。 ジークフリートに挑戦をつきつけたアメルンクは、まずそこもとが名を名乗れとジークフリート に誰何される。しかしアメルンクは、[名のることを]拒否し、あまっさえ試合には敗北して、 ヴィティッヒの馬もとられてしまう。すでに相手が血縁者のアメルンクであると感づいている ジークフリートだが、再度、名を名乗れとたずねる。アメルンクが白状すると、ジークフリートは 二頭の馬を返還し、アメルンクに自分を樹の幹に縛り付けるようにと言う。そうすれば、皆は アメルンクがジークフリートを負かしたものと思うだろう、と。

がて、正式な試合の申し込みがなされ、受け立つべしとの返答がかえされる。 そして試合(トーナメント)の開催となる。ところが、ハイメ、ヘルブラント、ヴィルデベル、ジントラムと ファゾルトは次々に破れ、樹の幹に縛り付けられる。そしてアメルンクの番となる。 しかし、アメルンクは戦う前に、このような災害へかれらを導いたディートリヒを、きびしく非難する。 アメルンクは、ついに自軍にとってはじめての一勝をもぎとり飾ることができる。 アメルンクは、イズンクの息子の命乞いの代償として、ヘルブラントとファゾルトの解放 を要求し、承諾される。

つづくホルンボーゲとハーゲンは敗れ、身柄を拘束される。デトレフが試合場にでると、これは、 いままでにない長試合となる。そしてからくも相手を破り、ハーゲンの自由を獲得する。 次のヒルデブラントもやぶれ、こんどはグンター王とイズンク王との、一国の君主どうしの 戦いとなる。

最後に、ヴィティッヒが対戦者名簿(リスト)に名をつらね、最後のイズンクの息子を破る。 そして王子を殺すぞと脅迫することによって、捕縛された勇士ら全員の釈放を獲得する。 そしてディートリヒ自身が、剣を抜き、ジークフリートと対峙する。

の戦いは、まる二日つづき、二日目の黄昏どきには、ディートリヒに 勝ち目がないことが明らかとなる。翌日、ディートリヒは、ヴィティッヒにミームンクの借用 を要請。ジークフリートは、ミームンクは使用しないと誓約せよ、とディートリヒに迫る。 そこでディートリヒは、ミームンクの切っ先を地に突き立て、柄(つか)を自分の脚に寄りかからせ、 ミームンクの剣先は地面から出さない、またその柄を何人も握らない、と宣誓をたてたので、 ジークフリートは満足する。ディートリヒは、それでもミームンクをもちいてジークフリートをくだす。 ジークフリートは、ディートリヒの臣下となることを誓う。

ヒルデブラント、ヴィルデベル、ハイメ を追う
ヴィティッヒ を追う
デトレフとファゾルト を追う
王イズンク を追う
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17:結婚 (Th. 223-230)

ブルンヒルトの履歴

メルンクはイズンクの娘と結婚。ディートリヒと勇者たちはベルンへ帰参する。 ホルンボーゲ、アメルンク、ジントラム、ヘルブラントは、ディートリヒの傍をはなれ、それぞれの故国 にて彼の家臣として務めることにする。

ジークフリートは、ハーゲンやグンターの姉妹であるグリムヒルトと結婚。 ジークフリートはまた、グンターがブルンヒルトを娶ってはどうかと提案する。グンターはこれに賛成。 そしてグンター、ハーゲン、ジークフリートとディートリヒは出立する。 ブルンヒルトは、当初、憤慨でもってこれを拒否し、かつてジークフリートがゼーガルトに留まったとき、 二人のあいだに情事があったこともほのめかす。 結局、ディートリヒに説得され、ブルンヒルトはグンターとの結婚に合意する。

初夜の晩、ブルンヒルトは、同じ床にグンターが入ることをゆるさず、かわりにグンターの身を ひょいと持ち上げ、壁の鉤に引っ掛けて吊るしてしまう。次の晩も同じことがくりかえされる。

グンターがことの次第をジークフリートに打ち明けると、ジークフリートがこう説明する: つまりブルンヒルトが処女である限り、彼女はジークフリート以外どんな男性も太刀打ちできない 強さのままであると。ジークフリートは、グンターの代役をつとめようと言い、その晩、 ブルンヒルトの処女をつみとったのである。 その記念の品として、ブルンヒルトから腕輪(たまき)を貰い受ける。

ジークフリートおよびニーベルング族 を追う
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18:ヘルボルトとヒルダ(Th. 231-240)

デトレフとファゾルト の履歴
九人の娘との女王 の履歴

この部分は一般に書き入れであると考えられます。

ィートリヒは、ベルタンガラントの王アルトゥスの娘ヒルダを妃にとのぞみ、 求婚の代役に甥のヘルボルトをたてて王の宮廷につかわす。 しかしヘルボルトは、彼女を自分のために欲しくなり、ディートリヒの似顔絵をヒルダに 書いてみせてやると、ヒルダは愕然のあまり、ヘルボルトと駆け落ちすることに合意する。

そしてディートリヒ、デトレフ、ファゾルトはそれぞれ、ドレカンフェルズの女王の九人の娘 のいずれかと結婚する。ファゾルトとデトレフは、共同して女王の王国を統治することになる。

ディートリヒ を追う
デトレフとファゾルト を追う
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19:ヴァルターとヒルデグント(Th. 241-244)

ハーゲン の履歴
アッティラ の履歴

ここは、年代の順を追って語られていない、唯一の箇所です。 ここにあるのは、前章よりはるか以前に起こった出来事です。ハーゲンは、ベルタンガラントの箇所で、 すでに隻眼であることがあかされていますが、じっさい片目を失うのはこの箇所です。 ヴァルターも、まだゲリムスハイム伯には封ぜられていません。

ァルターとヒルデグントは、いずれも人質としてアッティラの宮廷に 暮らしている。ヴァルターは、その一族であるエルメンリクやディートリヒら王室の人質。 ヒルデグントは、父王オザントリックスの人質。そしてこの二人は互いに深く愛しあうようになる。

二人はついに駆落ちを遂行。アッティラは、11人の騎士とハーゲンを、追手にさしむける。 ヴァルターは騎士を皆殺しにし、突然あらわれたハーゲンには、猪の骨をとっさに投じ、 ハーゲンは片目を失明する。ヴァルターとヒルデグントは、追手を逃れる。

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アッティラ を追う
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20:イロンとイゾルデ (Th. 245-275)

ヴィティッヒ の履歴
アケ の履歴
エルメンリク の履歴

この部分も一般に加筆であると考えられます。

こでは、アルトゥス王の二児、イロン王とアポロニウス王の、無味乾燥な冒険譚が 語られる。二人の王は、互いの森林での狩猟権などを言い争う。 最後にイロンは、ディートリヒのおじのアケの妻を誘惑し、イロンはアケに殺される。 ディートリヒはイロンの遺骸を見つけ、[手厚く]埋葬する。

まもなくして、アケは死ぬ。ヴィティッヒは、九人の娘のひとりでもある、のこされた寡婦を 娶る。エルメンリク王は、ヴィティッヒを臣下に受け入れ、遺されたアケの息子の後見人となることを 許す。

 

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