![]() |
『アリス』の続編『鏡の国のアリス』の第一章にある有名なナンセンス詩『ジャバウォッキー』(の第 1 節)の意味を解き明かすを手がかりは、
二通りある。 ![]() が載り、それにつづいて、各ナンセンス語がつまびらかに説明されている。 いまひとつは、『鏡の国のアリス』第六章で、ハンプティー・ダンプティーがアリスに手ほどきする解釈だ。 以下、その両方を表に記した。 | ![]() |
|---|
| 語 | キャロルの解釈 |
ハンプティー・ダンプティーの解釈 |
備考 |
|---|---|---|---|
|
BRILLIG, BRYLLYG ブリリッグ |
(動詞 の BRYL† 、 BROIL 「(肉を)あぶる、焼く」 に由来) |
午後四時ごろ。夕食のものをあぶり焼きして[仕度し]はじめる頃合。 |
† オックスフォード英辞典では、 "BRYL" は見当たらず、"bruyle" ならば、 BROIL の変形つづりとされていた。 |
|
SLITHY, SLYTHY スライディー |
( SLIMY 「ぬめっている、ヌルヌルな」 と LITHE 「しなやか」の複合語) |
…「しなやかでヌルヌルな」#という意味だ。
「しなやか」ってのは、「せかせか」と同じだな。 |
† "smooth and active" # "lithe and slimy" |
TOVE トーヴ |
アナグマみたいな―トカゲみたいな― コルク栓抜きみたいなやつらだ… 日時計の下に巣食うのさ―それから、チーズを餌に生きてるんだ。 |
* "Toves"は "groves〔グローヴス〕" と韻が合うように発音する、とキャロルは『スナーク狩り』の序文で語っている。 — M・ガードナーの註釈13。 | |
|
GYRE ジャイヤー |
【動詞】 ( GYAOUR または GIAOUR† 「犬」 に由来) |
ジャイロスコープみたいに、ぐるぐる廻ることだ。 |
† オックスフォード英辞典によると "GIAOUR" は、トルコ人が非回教徒、とくに キリスト教徒をなじるのにもちいる言葉である。 |
|
GIMBLE, GYMBLE ギンブル |
(よって GIMBLET† 「錐」) |
錐みたいに穴を開けることだ。 |
† "gimlet" が一般なつづり。 |
|
WABE ウェイブ |
(動詞 SWAB 「(びしょびしょな場所を)拭きとる」 と SOAK 「びしょ濡れにさせる」より) |
アリス:「なら、‘ウェイブ’ってのは、周りの芝生の植え込み、ってことよね?」 |
* 原文: "It's called 'wabe,' you know because it goes a long way before it, and a long way behind it —" "And a long way beyond it on each side." |
|
MIMSY ミムジー |
(転じて MIMSERABLE 、 MISERABLE 「惨め」 ) |
薄っぺらでみじめ‡。 |
† "unhappy" ‡ "flimsy and miserable" |
BOROGOVEボロゴーヴ |
絶滅したオウム鳥の一種。翼はなく、嘴は上向いており、
日時計の下に巣を作る。仔牛の肉を餌にして生きている。 |
痩せっぽちな、みすぼらしい鳥で、羽があっちこっちじゅうから突き出ている ―生きたモップみたいなもんだ。 |
*マーチン・ガードナーは『スナーク狩』序文を引いて、"borogoves"の最初の o が、 'borrow' の 'o' と同じように発音することを確定している。しかし、もっと気になるのは脚韻であり、はたして "borogove"が、第一行の"tove"トーヴ と完全韻を踏んでいるのか、あるいは目韻〔eye rhyme〕のみであって、 発音は "dove"「鳩」とライム(韻)するかが問題だ。 |
|
MOME モーム |
(よって SOLEMOME 、 SOLEMONE 「賢者王ソロモンをくずした語?」、
SOLEMN 「厳粛なる」等) |
モームってのは、ちと自信が無いな。たぶん「 我が家よりて」を ちぢめた略ではないかな。つまりは迷子ということさ。 |
† "grave" |
RATHラス |
陸亀の一種。頭部は屹立し、 口吻部は鮫に似る。 前肢は凸状に彎曲し、膝這いで歩く。 全体は滑らかで緑色。燕と牡蠣を餌とする。 |
ラスは、まあいわば一種の緑ブタだな。 |
|
|
OUTGRABE アウトグレーブ |
【動詞】 |
アウトグライビングは、怒鳴るのと口笛鳴らすのとの中間で、 とちゅうでクシャミみたいな音が入るんだ。 |
† オックスフォード英辞典は、SHRIKE は = SHRIEK で、
"(鳥が)ピーピーとさえずる"意味の旧語・方言であるとしている。GRIKE は見つからず。 ‡ "squeaked". ちなみに "squeak like a mouse" などとネズミの鳴き声を模すことが多い; ブタが(ブヒブヒ、ブヒッ)と甲高く鳴くのを模す句は"squeal like a pig" である。 |
| [第 1 詩節] |
23歳のキャロルは『Misch-Masch』で、ひきつづき第1節を次のように読み下している: すなわち、この箇所を逐語的な英語に直すと:「それは夕刻だった、すべやかにして活発であるアナグマたちは、丘の側面(中腹)を引っ掻き、穴を穿っていた。オウムたちにしてみれば、とことん不愉快である。堅苦しい亀たちも、金切り声を上げていた」となる。 おそらくこの丘の頂には日時計がおかれていたのだろう。「ボロゴーヴ鳥たち」は、下に坑道を掘られて巣が陥没させられないか、気が気でなかった。丘はまた、「ラス亀たち」の巣だらけだったろう。外から「トーヴ穴熊」が引っ掻く爪音を聞いて、亀たちは恐怖で金切り声をあげながら飛び出てきたのだ.. | * 原文: Hence the literal English of the passage is: 'It was evening, and the smooth active badgers were scratching and boring holes in the hill-side; all unhappy were the parrots; and the grave turtles squeaked out.' There were probably sundials on the top of the hill, and the 'borogoves' were afraid that their nests would be undermined. The hill was probably full of the nests of 'raths', which ran out, squeaking with fear, on hearing the 'toves' scratching outside. This is an obscure, but yet deeply-affecting, relic of ancient Poetry. | |
| 語 | マルチン・ガードナーの註釈より [追加中] | 備考 | |
|
JABBERWOCK ジャバウォック |
|||
に戻る。