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コールブランデ〔コルブラント〕 : [武器:剣] [アーサー伝説]

Collbrande [中期英語]
[語意(中期英語):cole 「炭」(?) + brand 「焼きごて、剣、松明〔たいまつ〕」。 「剣」を意味する brand の同義語はゲルマン語系 (アイスランド、デンマーク等)にもあるし、古期フランス語 branc もしばしば武勲詩に見える]
アーサーの剣名 カリバーンの異形(異綴り)。
    十四世紀中期英語で書かれた詩で、『頭韻体アーサーの死』 The alliterative Morte Arthure (14世紀末。清水訳*1)、アーサーが巨人ゴラパスと対峙する場面で披露する。
[* この作品は、ソーントン写本ただ一点でしか現存していない。]

*1 清水阿や訳『頭韻詩 アーサーの死』 (ドルフィンプレス 1985 年)。 そのほか溝端 清一 編 A Concordance to the Alliterative "Morte Arthure"も出ている。

§ Allit. Morte Arthure (14 世紀末)

He clekys owtte Collbrande, full clenlyche burneschte,
Graythes hym to Golapas, þat greuyde moste,
Kuttes hym euen by the knees clenly in sondyre.
"Come down," quod the Kyng, "and karpe to thy ferys;
Thowe arte to hye by þe halfe, I hete þe in trouthe:

(―『頭韻体アーサーの死』 2123 行 。 ソーントン写本の原文のまま).
王が抜き放つはコールブランデ、きれいに磨きぬかれし[剣]、
いっとう厄介なるゴラパスめがけて踊りかかれば、
その膝を真っ平らに両断す、いわく、
「もそっと下がってまいれ。して朋輩ともがらとも語らい合うがよいぞ、
[その図体ずうたいでは]、半身&はんみばかり高すぎおったからのう。」 *1
"
―私訳
この変体つづりは、ソーントン写本のなかでもう一度だけ*2繰り返されてはいるものの、それからのちは、 より馴染みの深いカリバーン Caliburn*3と綴られる。

つまり、同じ写本の中で、同じ剣が、あるいはコールブランデ、あるいはカリバーンとずいぶん違った呼び名で呼ばれているのである。
 ところが本として出版されているテキストや、現代英語訳のテキスト、これをコールブランデ → カリバーン (あるいはエクスカリバー)に統一(校正)してしまっている*4 ので、そういう編本で見るかぎりでは、あたかもコールブランデという記述は無い様に見受けられてしまう。

 ちなみに、「コールブランデ」というのは、中期英語発音に近いと思われる自作の仮名づかいであるが、すでに邦語ウェブ空間では「コルブラント」という仮名づかいが 定着してしまっているようである。なお、 風臥かざふせ氏の<武器辞典>の「コルブラント」の項では、 この剣名を「松明たいまつ」の意という説があるとの情報あり*4a


*1 清水阿や訳は未読なのでここは私訳。

*2 2度目は次の詩行:
    Cleues hym with Collbrande clenlyche in sondyre;(2201 行)
よく似た文句が次の詩行にみえる:
    Cleues hym wyth his clere brande clenliche in sondire.(2182 行)
*3 それ以降の、剣名が「カリバーン」で出ている箇所を挙げると: "Today Clarente and Caliburne sall kythe them togedirs/Whilke es kenere of kerfe or hardare of eghge" (4193-4行)
"ʒitt with Calyburn his swerde full knyghttly he strykes (4242行)
⇒クラレントというのは、アーサーの所有するいまひとふりの剣である。


*4 例えば ロチェスター大学 Project Camelot 版の Allit. Morte Arthure Part III では、コールブランデがカリバーンに改正されている: "He clekes out Caliburn, full clenlich burnisht, ". *5 例えば

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