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《コルブランドの剣》 / クルテイン (マイルズの) 【武器:剣】【英国ロマンス】

[所持者]
マイルズ Miles, Myles, Mile [中期英語]; Miles [Anglo-N./OF]; Miles [W]; Miles [ON];

[剣]
《コルブランドの剣》 Colbrandys brond (Chetham 写本 = "M." 写本 l. 4169) [中期英語];
クルテイン Curtayne (Pynson の1503年発行本 "O." 本) [中期英語]
[Colbrand はウォーリックのガイ卿と戦った巨人の名か? また、アーサーの剣も Collbrande や Calibrun と綴られる。]
[Curtayne = 「短い」 < 仏 cort, court. 参: オジエの剣 Cortain]

ハンプトンのビーヴィス卿の次男、マイルズの剣。
中期英語のメトリカル・ロマンス詩の異本にみられる。引用文を参照。

[馬]
スワロー Swalowe (Chetham 写本 = "M." 写本 4171行) [中期英語];

異本に記されるマイルズの白馬の名。
ただし1503年発行本では、馬号ではなく「どんな燕にもおとらず速い馬」とある。
また、ビーヴィス卿の馬、アルンデル号の名も、フランス語で「燕」を意味する hirondelle に由来することも念頭におきたい。
*1 一次資料などについては、モルグレイの項を見よ。

§ 中期英語メトリカル・ロマンス詩『ハンプトンのビーヴェス卿』の異本

 さて、ビーヴィスの息子らの武具が登場するのは、作品の終わりに近い「ロンドン市中騒動」のシーンである。
 これは別本で、長男のガイがアロンダイトを振るっているのと同じ場面であるが、ここでは湖のランスロット卿の剣には名がついていない。
 アロンダイトの項でも述べたが、ことの発端は、エドガー王が、型きり文句「その欺瞞な宮宰の助言」(his fals stywardys rede)にたぶらかされて、ビーヴィス一行をひっ捕らえよと命をくだしたためであった。

Sir Gye be-strode a rabyt tyght,*
4160
He was moche and no thinge light,*
Sir Beues with his own brond*
Had wonne with in the holy lond,*
A nobull sword he gan hym take,*
That was Launcelottes the Lake; *
4165
In the hilte was a charbokyll-stone,
A better sword was never none,
That no man knew to this day,
Saue Beues good sword Morglaye,*
And Myles had Colbrandys brond, *
4170
That som tyme had Rouland; *
His hors white, they callid hym Swalowe, *
There myght no hors hym ffolowe.
— Kölbing 編 Bevis of Hampton *1 (p. 209-210).
"M." テキスト (Chetham 写本)
ガイ卿がまたがるはアラブ馬、
この巨馬、軽装にあらず、
ビーヴィス卿が聖地にて、
おのれが剣により行って取りし[馬]なり。
[ガイが]手にしたのは気高き剣、
かつて湖のランスロットのものなり
柄頭はカーバンクル石ごしらえ。
これにまさる剣、いままでになし、
今日におよび、誰ぞも知るかぎり、
ただひとつ、ビーヴェスの良き剣モルガライを除けば。
そしてマイルズは、コルブランドの剣をもつ、
いっときロランが持っていた剣だ。
その白き馬は、スワローと呼ばれ、
どんな馬でも追いつけぬ。
—in plain English

さて、ピンソンの発行した「古い印刷書物」では、四行ばかり(上の4165−8行)が欠落しているが、 本文は以下のとおりである。マイルズの剣がクルテインになっているところと、馬は白馬スワローではなく、 「燕のように速い馬」である箇所が違う。

    Syr Guy bestrode a rabyght,
    He was moche & no thynge lyght,
    Syr Beuys wyth his owne hand,
    Wan hym in the holy lande.
    And a noble swerde gan he take,
    That sometyme was Launcelottys de Lake,
    And Myles had Curtayne in his honde,
    That sometyme longed to Rvlonde.
    His hors was swyft as any swalowe,
    There was no hors that myght hym folowe.
— Pynson 発行 Beuve de Hanstone (1503 年)
EEBO*2 (STC 番号1988)の画像全75頁中第72頁。

1503 版の画像  いわゆる「ブラックレター」活字が使用されている。
*1 p.210, ケルビング編=Kölbing, Eugen, 1846-1899 / Schmirgel, Carl 共編 The romance of Sir Beues of Hamtoun, Ed. from six manuscripts and the old printed copy, with introduction, notes, and glossary, by ..』. (London: Pub. for the Early English Text Society by K. Paul, Trench, Trübner & Co., 1885, 1886, 1894.)

上のオンラインバージョンは、 Kölbing 編本の書物一冊の全頁の画像をアップロードしている。 そして、序文や詩の行番などは画像で読みとるしかないが、それ以外、中期英語テキストは、 全文が電子テキスト化されている。
ただし HTML 化にあたっては再編製されている:
本の方では、オーヒンレック写本を底本とした"A."テキストを各頁の「上半分」に、 Chetham 写本、15世紀 繊維紙)を底本とした"M." テキストを「下半分」に掲載し、 他の異本の差異は脚注にしている。
HTMLでは、"A"版 pp.1-217 と "M"版 pp.1-217 を分離し、脚注は、* しるしをクリックして立ち上がる仕様にしている。

以下、ケルビングがもちいる写本の略称である(Camelot Project の略号と矛盾するので注意):
A. = Auchinleck 写本、第 176a-201a 葉 (<1327年);
E. Caius College No.175 写本、第131a-156b 葉 (14世紀後半);
S. Sutherland 公爵の写本、第 45-94, 96 葉 (14世紀末);
N. Royal Library of Naples, Ms. XIII B, 29 写本、 (15世紀);
C. Cambridge 大学 繊維紙(paper) FF. 2, 38 写本 (旧番号 690) 第 102b-133b 葉
[=(現 Egerton 2862 写本).]
L. Douce Fragments (断片) No. 19. 最古の印刷本の2葉
M. Chetham Library, Manchester Ms. 8009, fol. 122a-187b葉
O. Pynson, 1503 出版本。 "old printed copy" と題中で証する書物。
.


*2 Pynson の 1503 年 刊 の複写イメージ (TIFF画像 / PDF ファイル) は、EEBO を 購読している大学や国会図書館(および関西館)でアクセスできるとのこと。

§ コルブランドは人?巨人?

 さて、マイルズの剣のかつての持ち主らしきコルブランドとは何者であろう。

有名なところでは、コルブロンド Colbrond (Colbrand) [英] というデーン人の巨人が、ウォーリック伯ガイの好敵手として登場する。ちなみに『ウォーリック伯ガイ』の物語も『ビーヴィス卿』の物語も有名なオーヒンレック書写本に収録されている。
また、かつてある物語でコルブランドに似た名の騎士がアーサーの麾下にいた形跡があるが、これは北欧文学に Kalebrant 卿の名をとどめているに過ぎない。 (これらについては、アーサーの剣カリバーンの異表記コールブランデ〔コルブラント〕の頁でより詳らかに追求している)

Sources:

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