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Clarmie クラルミエ、クラルミーネ 【武器:剣】 【シャルルマーニュ伝説】

[剣]
Chlarmie(n), Clarmie (中世ドイツ詩『ローラントの歌』Rolandslied),
Clarmîne (der Stricker 作『カルル大帝』Karl der Große) [中期高地ドイツ語] ;

[所有者]
Engelirs, Engelrirs, Engelris (uzer Prittania, uon Wasconie), ?= Egeris か? (『ローラントの歌』), Engelhêr (von Britanje)(『カルル大帝』) [中期高地ドイツ語]

 ドイツ語版の伝承によれば、フランス勢の騎士エンゲリルス ≅アンジュリエ Engelirs *1 がもつ、「いかなる鋼鉄も抗うことができぬ」剣。
 エンゲルスの出身地は、ブルターニュともいうし、ワスコニア(ガスコーニュ)やボルドーともいわれる。
 ロンスヴォーの戦いで、この剣を抜き、ファレテルネのエシェルムント公爵ヴァルテルヌのエスクルミスEschermunt, herzoge uon Ualeterne を相手取り、公爵の頭を兜もろとも切り裂く(Rolandslied, ll.4765-)。

 デア・ストリッカー作『カルル大帝』でも同様に、エンゲルヘール Engelhêrクラルミーネ Clarmîne をつかってエシェルムント Eschermunt von Valterne を斃す(Karl der Große, ll.5823, 5833)となっている。

 じつは、フランス語の『ロランの歌』の写本どおりにしたがうなら、アンジュリエ Engelers *2 が敵対するマルプリミス Malprimis 「徒歩にても馬駈けるよりはやき男」(有永訳。 890 行) であるので、さぞ面白い戦いだったかと想像させられる。
 しかし残念ながら、英訳や岩波文庫版でも、フランス側の相手をアンジェリエからジェリエ Gerersにすりかえられてしまっている。

 さて、このくだりがドイツ訳ではどういう扱いになっているか、見てみることとしよう:

 こちらでは、エゲリス、、、、 (Egeris, Egeriers, Egeries, Egerîs ) という名の者が マルプリミス・フォン・アムペルガルト Malprimis uon Ampelgart (RL 4487行- ) と対戦する。
 これはアンジェリエかもしれないし、ジェリエかもしれない。微妙なところである。しかもこのくだりは「どこそこの〜」という出身地の言明がないので、ヒントが無い。
 さらには、相棒組み合わせにしても、ドイツ版ではゲルギルスとゲルギス Gergirs un Gergis (1190 行) のコンビもゲルギルスとエンゲルリス Gergirs unde Engelris (3267 行)のコンビもありなので、決定的な根拠にはならないわけである。

デア・ストリッカー『カルル大帝』では、 GergîsMalprîmes von Pergaltin の相手になっている。
 そしてこちらにもどちらかの誤記らしかるエルギース Ergîs という人物が 登場し、Mûralan やその上司である Cicerône と対戦する。

§ エンゲリルスの殺害者

『ロランの歌』(1485行-)では、駿馬バルバムーシュにまたがるクリムボラン [≅ドイツ版のオリボリス Oliboris]によって、 アンジェリエ Engelers はとどめの槍を刺されている*3

 ドイツ版ではいずれもサラゴッサのティボルス [Thibors uon Sarraguz (RL 5858-), Tibors von Sarragôz (KdG ll. 6888-)] がエンゲリルス/エンゲルヘールを殺し、アルロート Alroten (RL) Alderôten (KdG) を殺した罰だとほざいている[本当はロラントが殺したのに?]。
*1 原文フランス語の Ch. de Roland では Engelers li Guascuinz de Burdele
英訳だと "Engelers the Gascoin of Budele" すなわち、「ボルドーのガスコーニュ人エンゲラーズ」 などとされる。この人物は、サラセン人エスクルミス Escremiz de Valterne (laisse C, ll.1289-) と対決。

*2 オックスフォード写本 (Digby 23 写本) の画像 ( fol. 23r [第23葉表] )で"Engelers fiert Malprimis de Brigal"という記述されていることを、 じかに確認することができる。
ここは岩波訳では九七詩節、第 1261 行目では 「さて、ジェラン、、、、は、ブリガルのマルプリミスを討つ」に訂正。 というのは次節(九八節)で「その、、、、戦友ジェリエが都督を討つ」とあるためで、ジェランとジェリエでないと結成コンビにならないからである。
ちなみに、流布されている古フランス語の電子テキスト(Brian Wooledge 版)や Eng. trans. Scott Moncrieff 英訳 でも訂正が採用されている。





















*3 SYUGOさんの「ロンスヴォー峠の戦い」ページの対戦表が非常に 便利である。ここで「グリモラン」は「クリムボラン」の誤記だろう。

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